11章 終止定型
終止定型......フレーズの最後に使われる定型。調性を確立、確認する。
正格終止......Ⅴ-Ⅰの終止。これに先行するⅡやⅣ、終止の第2転回形、ⅤのⅤ(Ⅱ)も含めて考えることができる。
完全終止......主和音Ⅰと属和音Ⅴが根音位置かつ、最後はソプラノに主音がある正格終止。
不完全終止......完全終止以外の全ての正格終止。終止感に劣る。
主和音Ⅰが転回形の場合は、その後いっそう決定的な終止が現れることが多い。
半終止......属和音Ⅴで終わる全ての終止。正格終止が句点なら、半終止は読点のようなもの。
対になった2つのフレーズに於いて第2フレーズが正格終止で終わる時に、第1フレーズの最後に使うのが典型的である。
属和音Ⅴの前に、ⅤのⅤ(Ⅱ)が先行する場合もある。
変格終止......Ⅳ-Ⅰの終止。
正格終止の後に付加されることが多い。属和音Ⅴと主和音Ⅰを強調した後の下属和音Ⅳは、調的な満足感をもたらす。
先行する正格終止がなく、フレーズの終結として使われる場合もある。
短3和音のⅣが使われることもあり、特に色彩的な終止感を与える。
下拍終止と上拍終止
下拍終止......最後の和音が下拍(表拍)にある終止。
上拍終止......最後の和音が上拍(裏拍)にある終止。
偽終止......Ⅰの代わりに別の和音が用いられる正格終止。
他の終止定型と同じかそれ以上の明確さで調性を決定する。
Ⅴ-Ⅰの代用で最もよく見られるのは、Ⅴ-Ⅵである。
フリギア終止......Ⅳ/Ⅵ-Ⅴの終止。バロック時代の慣用。
例外的な終止形
変格終止のⅣを、Ⅱdim/ⅠやⅥdim/Ⅰのような和音に代理する例が見られる。
属和音Ⅴでの終止には、不安定な曲調を集約する、もしくは次の曲の冒頭での解決を暗示する効果が考えられる。